不動産業界で働いていて、宅地建物取引士の試験に一発合格した僕が、初めてお部屋を借りる人にもわかりやすく解説しますね!
実は、退去する際に物件の補修費用を大家さんと入居者のどちらで負担するかをはじめトラブルは起きやすいと言われています。
そのため、必ず退去立ち合いを行うべきなのですが、時間の制約もあり仕事や引越しの都合で退去立ち合いが難しいケースがあることも事実です。
そこで、記事の前半では「退去立ち合いの必要性と5つのステップ」を、後半では「退去立ち合いで見られているポイント」について詳しく解説していきます。
ぜひ最後まで読んて下さい。
退去立ち合いの目的は修繕箇所をチェックすること
賃貸物件を退去する際には、「物件に傷がついていないか」、「修理する必要がないか」などを不動産会社と入居者が一緒に確認します。
これらの確認だけであれば不動産会社だけでもできると思いますが、なぜ立ち合いが必要なのでしょうか?
退去立ち合いはなぜ必要なの?
退去立ち合いは「退去後の物件の修繕が必要なのか?」「修繕が必要な場合、大家さんと入居者のどちらが負担するのか」を決めるために行います。
要するに、修繕費の精算のために状況を確認することです。
そのため、入居者が荷物を搬出した後に不動産会社と入居者が一緒に行います。
- 入居時からあった傷の費用を請求される
- 入居者の過失でない傷や汚れについても請求される
入居者視点では、こういった本来負担する必要のない費用を払わなくていい様に、退去立ち合いが必要なのです。
賃貸物件を退去する際の5ステップ
退去立ち合いは、退去日当日の荷物搬出後に行いますが、いつまでに何をすればいいのでしょうか?
やるべきことは、大きく5つに分けられます。
退去日の1か月前を目安に不動産会社に連絡しましょう。
不動産会社から退去届が送付されるので、必要事項を記入して提出します。
退去日が決まったら、なるべく早く不動産会社に連絡しましょう。
荷物の搬出後、退去立ち合いを行います。
電気・ガス・水道の解約手続きや住所変更も一緒に行います。
①退去連絡
賃貸物件を退去することが決まったら、まずは不動産会社か大家さんに連絡しなければなりません。
いつまでに退去連絡をいれないといけないかは賃貸借契約に記載されていますので、よく確認しましょう。
一般的には、家賃支払いの関係もあり退去日の1か月前に連絡するケースが多いです。
自分の場合も退去予定日の1か月前に連絡しました。
②退去届の送付
不動産会社にもよりますが、退去連絡をすると退去届が送られてくるケースや、賃貸借契約時に渡されているケースなど様々あります。
退去届に記載する事項は様々ですが、以下の内容が多いです。
- 氏名
- 住所
- 賃貸物件名
- 退去予定日
- その他(駐車場のNo、引っ越し理由など)
受け取ったら忘れないうちに記入して、ポストに投函するようにしましょう。
③立ち合い日を決める
次に、退去予定日が決まったら不動産会社に連絡して、退去立ち合いの日時を決めていきます。
注意点としては、土日に退去立ち合いをしていない不動産会社もありますし、繁忙期の3月末は学生も社会人も引越しするため、日程が既に埋まっていることが多いです。
自分の場合は、平日の10時から17時までしか退去立ち合いできなかったので、有休をとる必要がありました。
退去日の立ち合いまでは、なるべく早く決めておくのがいいでしょう。
④立ち合い
荷物の搬出後、不動産会社の立ち合いのもと退去立ち合いを行います。
退去立ち合いの時間帯は不動産会社によって異なるので確認しておきましょう。
退去日にやることは、荷物の搬出だけではありません。
- 新居での荷物の受け取り
- 退去物件の掃除
- ガスを止める立ち合い
意外と見落としがちですが、荷物搬出後は家具や家電の下にほこりが溜まっている場合もあります。
搬出後すぐに退去立ち合いとするのではなく、1~2時間ほど開けて掃除をする時間を持つのがおすすめです。
⑤その他
退去と併せて行いたいのが、以下4つの手続きです。
- 電気・ガス・水道などインフラの解約と新規契約手続き
- 住所登録の変更
- 転送届
- 不用品の廃棄
インフラ関連の解約
電気、ガス、水道やインターネットなど、契約しているものについては、解約の手続きをしておきましょう。
その際は、止めてもらう日(いつまで使うのか)は慎重に判断しましょう。
退去前に新しい家に住んでいるからといって、早めに解約していまうと退去日に使えなくなって困る可能性があります。
荷物の搬出後に、床の掃除をしようと水道をひねっても水が出なかったときは、焦りました。
退去日まで使える様にしておくといいといいでしょう。
住所登録の変更
Amazonや楽天市場など、通販を使っている人も多いと思うので、現在登録している住所の変更も必要です。
住所変更をしていないと、通販で購入したものや発送された書類などが届かないので、退去関連の手続きとまとめてやってしまうといいでしょう。
- 通販や保険の登録住所
- 会社の住所登録
- 銀行口座・証券口座の住所登録
転送届
上記の住所変更と一緒に、郵便局に転送届を出しておくと安心です。
転送届を出すことで、1年間は旧住所に送付された郵便物があたら住所に送られるようになりますので、転送届も出しておくといいでしょう。
最近では「e転居」というサービスで、郵便局に行かなくてもネットからでも申請ができるようになっています。
郵便局だと平日の日中にしか申請できないため、お仕事で行けないという方は、「e転居」から手続きを行うのも一つの手です。
不用品の廃棄
不用品の廃棄も事前に行う必要があります。
燃えるゴミや燃えないゴミで捨てられるものは、計画立ててコツコツと捨てておくといいのですが、サイズが大きい物となると不用品回収業者に回収してもらう必要があります。
自分も退去前に掃除をしていると、大量のゴミ袋と廃棄するものがありましたね。
不用品回収業者だと費用がかかってしまいますし、繁忙期だと相場も高くなってしまいます。
リサイクルショップや不用品買取業者を使うことで、本来費用をかけて廃棄していた不用品を買い取ってもらうこともできます。
自分はECO Ringを使って不用品買取してもらいました。
立ち合いでチェックされる5つのポイント
退去立ち合いをした後に、設備の故障や室内に傷や汚れがある場合、大家さんと入居者のどちらが費用負担をするのかが決まります。
- タバコの臭いや黄ばみ
- 水回りの汚れ、水垢
- 床や畳の汚れ、傷
- 家電の動作確認
- 網戸の状況
大家さんと入居者どちらの負担になるかは、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で一般的なルール決めがされています。
今回は、不動産会社が退去時に確認している5つのポイントについて解説していきます。
①タバコの臭いや黄ばみ
タバコを吸う人の場合、「臭いが部屋に染みついていないか」や「ヤニで壁が汚れていないか」といった点を確認しています。
もし、臭いや汚れがついていて、清掃でも取れない場合は、クリーニングや壁紙の張替えをする必要があるので、費用の請求をされる可能性があります。
そのため、室内で喫煙することは避けベランダで吸うなど、臭いや汚れが付かないよう対策しましょう。
②水回りの汚れ、水垢
風呂やトイレ、洗面所などの水回りは水垢や汚れが付きやすい場所なので、不動産会社もよくチェックしています。
もしこういった汚れがあると、入居者の過失とみなされクリーニング代を請求されるケースが多いです。
付くたすぐの水垢や汚れだと落ちやすいけど、放置しているとなかなか取れなくなるので要注意ですね。
そうならないためにも、水垢を作らない・できたらすぐに掃除するといった習慣を作るようにしておきましょう。
③床や畳の汚れ・傷
床や畳の汚れ・傷についても、水回り同様、入居者の過失により付いた汚れは入居者負担になるケースが多いです。
- 水をこぼしたけど、吹かずに放置した
- 床に物を落として傷をつけてしまった
こういった原因による汚れは借主負担となるケースが多いですが、家具を設置したことによる床のへこみは通常使用によりできた傷とみなされるため、大家さん負担となるケースが多いです。
また、賃貸借契約によっては特約が付いているケースもあるので、よく確認しておきましょう。
自分は畳にラグを引いていたんですけど、退去時は必ず取り換えるため、費用請求するという特約が付いていました。
④網戸の状況
網戸も床や畳同様、汚れや破損がないかをチェックしています。
ペットやお子様がいらっしゃる家庭だと破ったり破損させてしまう可能性が高いため、よく注意しましょう。
⑤家電の動作確認
備え付けの家電がある場合には、故障していないかの動作確認をすることも多いです。
最近では、エアコンが備え付けとなっている物件が多いので、動作確認や手入れがされているか、フィルタの手入れがされているかといった確認するケースが多いです。
家電には耐用年数(何年間使用できるかの基準)があり、耐用年数を超えた家電の場合は入居者の費用負担とならないこともあります。
賃貸物件を退去する際の注意点 2つ
賃貸物件の退去時に気を付けたいことを2つ解説していきます。
二重家賃を防ぐ退去連絡のタイミング
元々借りていた物件を退去する方の多くは、新しく賃貸物件を借りるケースが多いです。
その時に気になるのが、「新旧の物件で二重家賃が発生しないか」ではないでしょうか?
ただでさえ、新しい物件の初期費用を払っているので、無駄な費用は抑えたいですよね。
荷物の搬出や退去立ち合いをする関係で、数日間の日割り家賃が発生してしまうのは仕方ないですが、丸1か月分の家賃負担は避けたいですよね。
そうならないためにも、退去日と入居日の日付は極力近づけるようにしましょう。
原状回復について
もう一つは、設備の修復に関わる原状回復についてです。
原状回復については、大家さんと入居者とでトラブルになりやすいことから国土交通省により1998年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」としてルール化されました。
- 借主の故意・過失・善管注意義務違反による損耗や毀損は、借主が原状回復の負担を負う。
- 経年劣化や通常の使用による損耗は原状回復費用には含まれず、大家さん負担とする。
入居時に既についている傷を退去時に請求されない対策としては、入居時の傷や汚れの写真を撮っておくことです。
不動産会社も傷や汚れをすべて把握できていないケースも多いので、ご自身でつけていない傷の修繕費用を請求されることを防ぐことに繋がります。
原状回復に関する詳しい内容は以下の記事で解説しています。
賃貸物件の退去費用って何がかかる?高額になるケースと抑える方法を紹介。
本人が立ち会えない場合は代理人を立てることも可能
物件の退去時に、立ち合いが必要でも時間的な制約から立ち合いが難しい人もいるのが現実です。
自分は平日の9時~17時の間でないとできないと言われ、有給休暇をとることになりました。
退去立ち合いは、本人が必ず立ち会わないといけないのでしょうか?
基本的には立ち合いは必要
賃貸物件の退去時の立会いは、基本的には必須とされています。
理由は、今までお伝えした通り、物件の傷や汚れ原因を把握して、補修費用が大家さん負担なのか、入居者負担なのかを適切に決める必要があるからです。
退去立ち合いをしていないと、もともとあった傷の補修費用を負担させられる恐れがあります。
たとえ、退去立ち合いが不要と言われても、万が一のことを考えて退去立ち合いはしておくべきでしょう。
どうしても立ち会いができない場合は、代理人に依頼することも可能
基本的に、退去立ち合いは本人が行うべきですが、「仕事の都合」や「引越しの都合」でどうしても立ち合いができないケースもあります。
その場合は、どうしたらいいのでしょうか?
- 退去日の日程変更
- 代理人に立ち合いをしてもらう
代理人に立ち合いの依頼をする場合には、委任状を作成する必要があります。
「鍵の返却」や「敷金の精算」を対応してもらう必要があるので、事前に代理人にやってもらうべきことを伝えておきましょう。
まとめ
「賃貸物件の退去立ち合いがなぜ必要なのか?」と「退去立ち合いでチェックされるポイント」を解説してきました。
- 相場とシミュレーション
- 支払いについて
- 初期費用にはどんなものがあるのか
- 初期費用を抑える6つの方法
退去立ち合いは、物件の傷や汚れを確認して大家さんと入居者どちらの負担とするかを決めるために必須な作業です。
新しい物件に住むためには、多くの初期費用がかかってくるので、退去費用はなるべく抑えたいものです。
水をこぼしたり、汚れた付いたら、すぐに掃除する習慣をつけることで、退去立ち合いのトラブルを防げます。
めんどくさいかもしれませんが、入居時に傷や汚れがある場合には、必ず写真を撮って不動産会社に報告しておきましょう。